ユノの耳はロバの耳

東の神に起こされてしまったので、萌えたぎる妄想を書き連ねます。
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意欲作(劇団チョコレートケーキ 治天ノ君)

この世にはいろいろなものがあるんだなぁ。
えらいものを見てしまった……。
劇団チョコレートケーキ「治天ノ君」
@世田谷パブリックシアター シアタートラム

出てくる人出てくる人すべての演技力とテンションが研ぎ澄まされていて、
呼吸するのもはばかられるくらいの作品でした。
ひりひりとした緊張感と長いけど聞きやすい台詞。
ほんとにほんとにすごいものに出会ってしまった。

Yちゃんが誘ってくれるまで恥ずかしながら、
まったくこの劇団があること自体を知らなかったので、
ネットでちょっと検索して大正天皇をテーマにしているっていうことと、
いろんな賞をとってることしか知らずに行きました。

主演者は劇団チョコレートの方が中心で、
客演が松本志保さん(松たかこさんのお姉様ですね)。

私「実話とか実在の人物とか事件とかを基にした」
のはかなり好きで、現実と想像が入り交じっているのは
気にならないほうです。
本物っぽく見せるどうかっていうことも演出とか脚本を書く上で
苦心したんだろうなぁと思いました。

内容としては、大正天皇がどんな人だったのかということを
いきいきと描くパート、
そして病身の大正天皇とその側近にとって、
「摂政を立てる」ということが、
どんな意味を持っていたかという
ことを会話だけで進ませる作品でした。

人間的な魅力にあふれた人ではあったのだけど、
ご本人の意志とは別に病魔に倒れてしまったこと
現人神であったゆえの苦悩とか、どれも本物っぽくて、おもしろ買ったです。

直接的に大正天皇を知ってる人が亡くなってしまうと、
宮内省や政府が出した「脳を患った天皇」というのだけが残ってしまう。

天皇とは何かと問われた大隈重信が
天皇とは自分たち(明治維新をなしとげた薩長の政府要人にとって)
が作った神棚です。
私は自分で作った神棚を拝む趣味はございません。
作った目的とは拝むことではなく(民草に)拝ませることだったのですから。

との一言が重くて、
いまずっと話し合われている天皇陛下は基本的人権の外か中か、
という議論とかにも貫かれている流れだなあと思いました。

天皇の神格化にあたって、「脳を患った天皇」というのは神棚にあげるには
ふさわしくないと、誰かが判断したということを言いたかったみたいです。

この作品は日本やロシアを回って、
私が見た日が最終公演だったようです。
先日、三笠宮さまが亡くなって、
大正天皇の直宮が全員お亡くなりなり、
大正天皇を直接知る人が
皇族にはいなくなってしまったというのも
かなり大きかったのではないかと思いました。

皇族の矮小化という判断もあるかもしれないけど、
それよりファミリーヒストリーに近づけたことでの
冒険は成功していると思いました。

脚本がすごいのもすごかったのですが、
出演者の演技もすごかった。
ビジュアルをそれぞれ寄せてきてるのもあると思いましたが、
すごく威厳がある立ち居振る舞いに聞きやすい台詞。
ほれぼれしてしまいました。

とくに貞明皇后を演じた松本さんは最初から最後まで圧巻でした。
威厳があって、気高くて、それでいて包み込むような優しさもある。
これはなかなかできない演技だぞ……と思ったのでした。

皇室の研究者の原武史先生の研究によると、
昭和天皇実録で昭和天皇が会った人を追っていくと、
貞明皇后が会った人とかさなるんだそうです。

三笠宮様はお二人の間には「確執があったと聞いています」と
お答えになっているようですけれど、反目しあっていただけでは
ないのでは……影響を受けているというのが原先生の推察。

この作品の中で摂政を立てることに大正天皇とその周囲がめちゃくちゃ
抵抗感を感じたというように描写されているのですが、
これを見ると、今上天皇が摂政をたてることに、
反対されているのがちょっとだけ分かったというか実感できたかも。

まあ、そんな個人の感想はどうでもいいのですが、
このテーマに正面からぶつかった人と、
それに賞を与えた人、
そして、それを上演するサポートする人がいるということに、
深く感銘を受けました。
これは映像にならなそうですが、見る機会があったら
ぜひご覧ください。





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